サンバと言えば…?
皆さんはサンバと聞くと何を思い浮かべますか?
「サンバってどんなイメージ?」と問いかけてみると、「明るくて陽気」「めっちゃ派手なダンサーとか派手な山車!」「リオのカーニバル!」「浅草サンバカーニバル」などのイメージを持つ人が比較的多いように感じます。
←リオのサンバカーニバル(リオのカーニバル – Wikipedia より)
これらのイメージは正解ですが、実はサンバという文化の中の一部分にすぎません。現在はサンバといっても、「ボサノヴァ」「バツカーダ」「パゴーヂ」「サンバカンサォン」など様々な形態を持つのです。
今回のブログではサンバの中でも主にバイーア地方で行われる、「Samba de Roda(サンバヂホーダ)」について紹介していきます!
Samba de Roda(サンバヂホーダ)って何?
Samba de Rodaは主にバイーア地方で行われるサンバの一つであり、アフリカ系の文化を色濃く持ちます。一般に知られているリオのカーニバルでのサンバとは異なり、アタバキやパンデイロの刻むリズムや周りを囲む人々の歌と手拍子に合わせてバイアーナと呼ばれる女性が踊ります。歌はカポエイラと同じくコールアンドレスポンスで、共通点を感じます。
伝統的にはこの時の服装は露出度が低い全身白色の民族衣装が一般的であり、Roda(ホーダ、輪)を人々で囲み、その中で踊り手が変わっていきます。また、カポエイラの団体で行われるSamba de Rodaでは、輪の中で女性と男性がペアで踊り、男性が割って入って女性を奪い合っていくという形式もよく見られます。
2005年には、バイーア州のRecôncavoという地域のSamba de Rodaがユネスコの無形文化財に指定されています。
←RecôncavoのSamba de Roda(Samba de Roda of the Recôncavo of Bahia – intangible heritage – Culture Sector – UNESCO より)
Sambaの起源に関しては諸説あるため、もっとも一般的に言われている説を紹介します。
19世紀ごろに奴隷として連れてこられたアフリカの人々がもたらした音楽や踊りの要素が、バイーアでもともとブラジルに存在していたといわれるウンビガーダというダンスなどのブラジルの要素と融合して形を変えたものがサンバの原型になったという説です。
サンバという語の由来についても諸説ありますが、内藤陽介氏の著書によると、アンゴラで用いられていたバントゥ系諸語で“ダンスに誘う‘を意味する”Zamba“、”Zambo“、”Zambra“、”Semba“などではないかと考えられているそうです。この書籍では、「バイーア州の伝統芸能として打楽器と歌だけで踊る”サンバ・ヂ・ホーダ“はそうした古い時代の”サンバ“のスタイルを現在に伝えるものと言ってよい」とも書かれており、Samba de Rodaがサンバの源流に近いことがわかります。
参考資料
Samba de Roda of the Recôncavo of Bahia – intangible heritage – Culture Sector – UNESCO
内藤陽介著『リオデジャネイロ歴史紀行』(えにし書房、2016年)180ページ
カポエイラの団体の中で受け継がれていくSamba de Roda
これまでsamba de rodaについて説明してきましたが、なぜカポエイラの団体がこれを行っているの?と疑問に思うかもしれません。
ここでは少し話を変えて、アフロ・ブラジル文化という話をします。Capoeiraや今まで説明してきたSamba de Rodaは、アフロ・ブラジル文化という分類をされることが多くあります。アフロ・ブラジル文化とは、奴隷制時代にアフリカからブラジルへ渡ってきたアフリカの文化的要素と、もともとブラジルにあった文化的要素が結びついて生まれた文化です。特徴としてはアフリカの言葉が使われていたり、アフリカの音楽や宗教の要素を持っていたりしながらも、ブラジル生まれでブラジル育ちの文化であるということです。現在では担い手の中にアフリカ系以外の人々も多くなってきています。
現在のCapoeiraのグループは、Samba de Rodaをはじめとして、maculelêやpuxada de redeなどの、アフロ・ブラジル文化、あるいは地域の伝統芸能を継承、保護するという役割を持つ場合もあります。こうした背景から、私たちのグループではSamba de Rodaをはじめとした様々な文化、伝統を学び実践しています。いくつか動画を紹介しておきます。
↑私たちのグループでSamba de Rodaのショーをした時の一幕です
↑私たちのグループのブラジル本部でのSamba de Rodaです
おわりに
この記事ではサンバの原型と呼ばれる、Samba de Rodaについて簡単に紹介しました。CapoeiraやSamba de Rodaなど、アフロ・ブラジル文化は世界中に広がり、現在では「アフロ・ブラジル文化」=「アフリカ系ブラジル人によって担われる文化」とは限らなくなってきているということが面白いなと感じます。私たち日本人がこれらの文化について学んでいるということは少し不思議なようにも見えて、とても意義のあることだと思います。この記事をきっかけに様々なサンバの形態や、他のアフロ・ブラジル文化についても興味を持っていただけたら嬉しいなと思います。
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