カポエイラにおける「バチザード(batizado)」とは?

カポエイラの世界に入る!

今日では様々なカポエイラの団体が、年に1回自分たちの師匠などを日本に招聘し、batizado(バチザード)というイベントを行っています。batizadoは、全国各地や世界からも多くのカポエリシタ(カポエイラの実践者)が集まる大きな、そして非常に重要なイベントなのですが、これはどのようなものなのでしょうか?

 

batizadoとは元々キリスト教の言葉で、キリスト教に入信する際に行われる洗礼のこと。

カポエイラの世界では、カポエイラを始めた人が最初の帯を取ることやそのイベント自体のことを指します。

ちなみに、すでに帯を持っている人に新しい帯が与えられることはtroca de cordas(帯を変える、昇段)といい、多くのグループがこの2つを同じイベントで行っています。

 

そのため、カポエイラの世界でbatizadoは「洗礼式」と「昇段式」、ふたつの性質を持つことが多いのです。

つまり、batizadoとは、カポエイラの世界に入ることを認められる最初の瞬間であり、それをお祝いするための重要なイベントだと言えます。

 

 

GUETO CAPOEIRAにとってのBatizado

私たちのグループでは年に一度、ブラジル本部からMestre Jean Mestre Cassio (グループの最高師範)のどちらかを招聘してbatizadoを開催しています。

Mestreは2週間ほどの滞在期間で、ワークショップや講義を行ってくれます。

 

この期間は私たち日本のカポエリシタにとって、Mestreや他の支部の指導者と触れ合う数少ない大切な機会です。

これを通して絆をより深め、ひとつの大きな家族という関係性をグループの中で築いていきます。

 

batizado当日は、県外からもグループ外からも様々なカポエリシタたちが集結!
2008年に21世紀美術館で開催してから14年間続けています。

2019年には、幼児25名、小学生87名、大人54名の計166名(!)が帯を得るという大きなイベントになりました。

子供たちのカポエイラショーやカポエイラを練習するための型の披露(sequencia de Bimba)

バイーアで受け継がれる他の民俗芸能(maculelê, puxada de rede, samba de roda)など様々なパフォーマンスが目白押し!この日のために1年間準備をする、一大発表会といった感じです。

私たちのグループではイベント当日に「この子は帯を取るのにふさわしいか?」と審査をしているわけではありません。

イベントまでの1年を通して、次の帯に昇段するにふさわしいかを指導者が見極めているのです。

そしてbatizadoの直前に行われるavaliação(アヴァリアサォン)でカポエイラの十分な技術や知識、理解が認められれば晴れて昇段決定!

なので当日はお祝いムードが強く、帯を取るにあたってのお披露目会のような位置づけです。

 

イベントの後半は、お祝いに来てくれたカポエリシタ達とのホーダを行い、最後に爆音のsamba reggae(サンバヘギ)をバックにみんなで踊ったり跳んだりと、とても楽しいイベントになっています。

昨年はコロナ禍の中の開催という事で各支部で感染対策をした中、昇段式を行いました。

帯を目指す過程が一番大切!

ここまでbatizadoはカポエイラのグループの活動にとって非常に重要だということを説明してきました。ここからはカポエイラの実践者にとってのbatizadoの意義にも少し触れてみましょう。

ここで最も伝えたいことは、帯を取ること自体でなく、そこに至るまでの過程こそが重要だということです。

 

帯を取るということは、カポエイラを練習していくうえで目に見える成果です。多くの場合、これは私たち実践者のわかりやすいモチベーションになります。

昇段をきっかけに新しい技術の習得に挑戦したり、新しい知識を得たりと、batizadoを目標にすることでカポエリシタとして大きな成長につながります。また、上の帯を取ることで自覚が生まれ、それがさらなる成長につながることも多いです。

 

例えば、私たちのグループではカポエイラを練習している小学生以下の生徒もとても多いのですが、上の帯を取る生徒はまわりの見本になるようにふるまうようになり、それを見て下の世代の生徒も成長していくという相乗効果が生まれます。技術はもちろんのこと、人間として成長していく機会になるという点でも、帯を取る過程が大切なのです。

外国文化に触れる_1

毎回必ず昇段できるというわけではないので、時には帯という形では成長が見られない場合もあります。しかし、練習を重ねるごとに、色んなことを学ぶごとに、必ずそれらはカポエリシタとしての成長につながっています。昇段は時に高い壁だからこそ、達成するまでのプロセスの中に多くの成長があり、それこそがbatizadoの重要性だと考えています。

 

おわりに

今回は、batizadoとは何かという話からその意義やその過程の重要性についてお話してきました。私たちの考えているbatizadoの意義、重要性が伝わればうれしいです。

現在は新型コロナウイルスの影響で大きなイベントの開催が難しい状況ですが、この先も以前のようにメストレたちと直接話し、他のグループのカポエリシタの方々とも一緒に楽しめるようなbatizadoができるようになっていくことを切に願っています。

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