カポエイラ世界チャンピオンと対戦

カポエイラ世界チャンピオンのCM Arthurと対戦

2020ブラジルがコロナ禍に陥る前にサンパウロの伝統的なカポエイラのストリートホーダ

ヘプブリカのホーダへ行ってきました。

 

その前にストリートホーダとはなんぞやと言うお話しをしなくてはいけません。

カポエイラというのはそもそも道場ではなく、ストリートから生まれたものである。

まだカポエイラが犯罪だった頃もカポエイラの場所はストリートだった。

ストリートだから社会のルールから開放される自由、独創性、

ルールブックを作らなくても、そこには毎回集う人たちの

暗黙のルールがありそこには儀式性や武道としての美学もあった。

ただそれも時々破られるのもストリートで何が起きてもおかしくは無い。

どこかストリートダンスやスケートカルチャーにも似ているように思える。

警察沙汰はよくあり、普通の家庭ではカポエイラを子どもがやりたいと言ったら必ず親に止められるという・・・

指導方法や道場も確立されていなかった時代は皆上手くなりたかったら、ジョーゴ(試合・ゲーム)を見て見様見真似で練習をして

ホーダのみで上手くなっていく。

自分の強さ、美しさ、相手を騙すテクニック、勇敢な所を証明したいという思いで行っていたと思います。

 

 

 

このヘプーブリカのホーダはサンパウロのカポエイラのもっとも古くから続くストリートホーダで

名だたるカポエリスタがここに集い、沢山の伝説を生み出してきたサンパウロのカポエイラの聖地のような場所です。

 

サンパウロだと、その昔カポエイラがまだ世間に受け入れられなかった時

バイーア州や北東部の田舎から出稼ぎに来た人たちの集まる社交場であり、地元の音楽を歌い

踊り、そしてカポエイラをする重要な場所でした。

ただ、ストリートホーダというのは大変危険で、男の世界で腕じまんのカポエリスタが集い、

色んな思想をもつカポエリスタがいる中で、どんな人とジョーゴするかも分からない

ローカル色が強く、外国人が簡単に入って目立つような場所ではないのです。

 

ココからはどんなだったかをお話しします。

僕も(マッチ)長年カポエイラしてきていますが、今回初めてヘプブリカのホーダへ行ってきました。

ブラジルのバイーア州でカポエイラを学んできている僕にとって、違う州でのカポエイラは式たりも違うし

知っている顔もほぼいない状態、こっちは一方的に知っていても向こうはこちらの事は知るわけもない。

この50人くらいのホーダでボネカさんと(サンパウロ在住の日本人カポエリスタ)と前にビリンバウを購入したCM Toichinho だけ。

ボネカさんも「ここは来るけどいつも見学よ、マッチ君わかってるやろうけど、何か爪痕残そうとか考えないでね!」

と、あんなにサンパウロで顔が利くボネカさんですら入らないのか、とより不安。

ホーダでは一体誰が仕切りなのか分からなかったのだが、基本ここは一人の仕切りというの無いそうです・・。

沢山メストレ(師範)もいるのでみんなで仕切っているような感じなのだと思います。

 

ホーダを囲んでいて手拍子していても、順番通り来るわけではない。ある程度というか、自分から入って行かないと入れない

カポエリスタにとって空気を読みどのタイミングに入るのかと言うのは非常に繊細なのである。それなのにこのホーダでの周りの関係性も見えない。

なので僕ら外国人は様子を読みとって、観察する力が必要である。

30分経っても中々チャンスが見えなくて、ホーダをグルリと周り反対側に並ぶ。

しばらくしたら向こう側からあのCM Arthurがホーダにやってきた。

 

あのRedBullが2017年に世界大会を主催した。その規模の大きさでカポエイラの知名度が一気に上がり、

その大会でArthurが準優勝し、優勝者よりそのスター性を買われRedBullが彼をスポンサードをするようになった。

既にサンパウロでは有名だったがその知名度は一気に世界へ、カポエイラドリームとなった。

WCF(ワールドカポエイラフェデレーション)の世界大会でも優勝し、世界中でゲストとして呼ばれ

SNSなどでも人気。今カポエイラ界で一番大きなウェーブに乗っている若い世代の一人。

 

(本当は、簡単に書くつもりだったが、知らない人に説明しようとしたらとても長くなりました。)

 

そんな彼が自分の目の前にいる状況・・ここで自分からシャシャリ出でジョーゴをする程の物でも無い僕

でも、カポエリスタとしては彼と一度はジョーゴしてみたい!!

切れ間を見つけて満を期して割って入ろうとしたら、迎えの人から「下がれ、下がれ」のジェスチャー!!

 

なんと残念・・そんな上手くは行かないかと、またしゃがみ待ち続ける。

一旦ジョーゴが切れて、仕切り直す瞬間割って入った。

丁度、向かい側には彼でした。

ジョーゴしてみて

実物見て改めて”デカイ!!” おそらく190近い身長で脚が長いからどこからでも蹴りが届いてくる

ジョーゴを進めていく中ハシテーラを誘った動きがあり、うかつにこの誘いに乗るとスコーンとハシテーラで返される

そういうシーンを何度も観てきているのでバランス崩しながら入らなかったが、

更に逆を突かれて顔の方にキックが!流石上手い!!

その直後シャマーダの際に背中越しで横目で見ながら彼が

「名前はなんて言うん?」「マッチレオン」という会話を交わした

背中でっけーな・・・

そして腕を捕まれてボデイバランスを崩させるテクニック!こういうのあるんか!!

アウーカベサノションからのシャパの攻撃も読みにくかったな・・

僕の避けにも後追いせず、上手くジョーゴを流してくれる。

 

比較的落ちついたゲームでしたが、この数分間の間に起きたことは色々と印象深かったです。

そして彼のジョーゴはとてもジェントルマンでした。そこが彼の魅力なのかもしれない。

 

自分もあの人とジョーゴをしてみたいと思われるような人間になりたいなと思うし

彼が一躍有名になったそういう舞台を日本でも作れれば。

そして伝統的なストリートホーダというものが日本でも作りたいな。